選択科目 スポーツ理学療法 Sports physiotherapy
第2セメスターでは必修5科目の他に選択科目を1つ選び、履修することが出来ます。私を含めて留学生4人は偶然にも全員スポーツ理学療法を選択していました。やはり理学療法士としてはスポーツの分野は気になってしまいますよね。
少し脱線しますがオタゴ大学の理学療法修士課程コースは基本的に6単位が必須。1セメスターに2単位の選択が認められているため、最低で1年半かかります。内容は
o PHTY 501 Biomedical Science in Physiotherapy
o PHTY 543 Orthopaedic Manipulative Physiotherapy
o PHTY 561 Clinical Practice
o PHTY 610 Research Methods
o PHTY 650 Research Project
の必修5科目に加えて、
o PHTY 548 Acupuncture in Physiotherapy/理学療法の鍼
o PHTY 542 Sports Physiotherapy/スポーツ理学療法
o PHTY 539 Occupational Health Physiotherapy/理学療法の労働衛生
o PHTY 545 Special Topic/社会トピック
o MSME Musculoskeletal Medicine/筋骨格系医療
o OCCH Occupational Health/労働衛生
o PAIN Pain Management/疼痛管理
o PUBH Public Health/公衆衛生
o REHB Rehabilitation/リハビリテーション
o SPME Sports Medicine/スポーツ医療
のうちの1単位を選択科目として選ぶ必要があります。
PHTYは理学療法学科が担当している単位ですが、それ以外はヘルスサイエンス分野だと思います。鍼については、ニュージーランドでは理学療法士がドライニードリングを行うことが認められています。臨床の場では良く見かける光景でした。
さて、スポーツ理学療法の単位構成は以下のようになっています。
1. スポーツ理学療法における倫理
2. チーム管理
3. トレーニングと運動負荷管理
4. 怪我のリスクを最小限に抑える
5. 急性および酷使による傷害の高度な評価と管理
6. 最適なスポーツパフォーマンスのための栄養
7. リハビリテーションとスポーツ復帰に適用されるメンタルスキル
8. スポーツにおける麻薬
これらのトピックについて計8回の授業があります。
この中でも印象に残っているのはトレーニングと運動負荷管理と栄養です。実際のプロチームスポーツに所属している理学療法士に選手の管理方法を見せてもらいましたが、各選手の運動負荷の方法や量については全て理学療法士がデータとして管理していました。トレーナーやコーチとも綿密なミーティングを行いどの選手にどれだけの運動負荷を与えて、試合の後にはどの程度のリカバリー期間を設けるのか、またその時々に最適な栄養を与えることなど細かく設定されていて驚きました。スポーツの世界というと華やかなフィールド場を思い浮かべることが多いかと思いますが、このような地道な選手の健康管理が基盤になっているのが印象深かったです。
追記:2021年12月22日
追記日時現在,私は日本で理学療法士として勤務しています。先日第8回日本スポーツ理学療法学会学術大会に参加させていただきました。
その特別公演の中でIFSPT(国際スポーツ理学療法連盟:World Physiotherapyの下部組織の一つで運動器及び徒手理学療法におけるIFOMPTと同等の組織)の理事から国際的なスポーツ理学療法士の認定資格としてRISPT(Registered International Sports Physiotherapist)について説明がありました。こちらの認定資格は現在主にヨーロッパやオセアニアで認知されつつあるようでアメリカを除く世界中で認定セラピストがスポーツ理学療法をアスリートに提供しているそうです。私はこの学会で初めて知ったのですが,その認定規約の中でRISPTを認定するための条件の中に上記の8つが必須学習要項として記されていたように思います(オンライン学会は記録が禁止されているのでうろ覚えです)。
ですので,これから日本でもRISPTの資格認定が始まれば,ここで紹介しているようなオタゴ大学と同等のスポーツ理学療法の単位を取得していれば評価の対象になるかもしれません。詳細がわかればまた追記します。
この科目はオタゴ大学内で1度レジデンシャルウィークという期間に受講生全員が集まる必要があります。この時はニュージーランドや遠くはオーストラリアからも院生が集まり賑やかになります。また、普段はオンライン授業の科目なので留学生以外の現地の学生に会えるのも楽しいです。第1セメスターで同じ科目を履修していた院生と久しぶりに会えるのも嬉しいですね。
選手のフィールド外搬送練習
実際の授業風景ですが、この日は地元ダニーデンの人気ラグビーチーム、ハイランダーズに所属する理学療法士と医師が授業をしてくれました。2人とも現役のスポーツ医療関係者ですので直接話せる機会は得難いと思います。ハイランダーズは2021年から日本代表の姫野選手も所属しており、ラグビーファンの間では有名なチームなのではないでしょうか。オタゴハーバーにはハイランダーズの本拠地フォーサイスバースタジアムがあり、ゲームのある日は多くのファンで賑わっていました。試合のない休日などには子供向けのイベントなど多数催しがありよく家族で行きました。理学療法学科の建物とは離れていますが、ビジネススクールなどは比較的近く、大学の中心からはなんとか歩ける距離だと思います。
フォーサイスバースタジアム
また、実際の選手の管理としてFunctional movement screenやFIFA11などのスクリーニングツールの活用法など障害予防や復帰プロトコールについて、脳震盪発症時などの選手のリスク管理などについて詳しく学ぶことが出来ました。ニュージーランドではスポーツ理学療法が人気なようでこの科目でしか会わない院生もいました。やはり華やかな舞台ですから憧れますよね。オタゴ大学では修士課程のコースの一つとしてスポーツ理学療法を学ぶことが出来ます。こちらも留学する動機になるのではないでしょうか。
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