留学までの道のり IELTS編⑧ ライティング後編


今回は実際に私が行ったライティング対策に加えて、大学院留学生活2年目の今私が思うこれをやれば良かったかなと思う勉強法 (Afterthought, Hindsight) について記します。






スピーキングについては前述した通り
  1. 独り言をひたすら繰り返す
  2. ワンコインオンライン英会話などを利用する
  3. 片っ端から外国の方に話しかける (嫌がられない程度)
などが効果的であると思います。

しかしライティングに関しては同じアウトプット能力ではありますが、必ず欠かせない要素があります。それは…


添削


です。
スピーキングのテストは一般的な挨拶やトピックに対して自分の意見をプレゼンテーション、面接官との会話やディスカッションなどが主な内容です。そのため意味が通じない点があれば面接官が聞き返してくれたり、言い直したりすることができます。


しかしライティングでは主要な文に誤りがあり意味が通じない場合、その間違い以降の内容も全て意味が通じないということがありえます。ある程度良い内容で書かれていても、たった一つの文章の間違いによって文章全体の仕上がりに影響が出るということですね。これを訂正し、意味の通じる端的な文章を作成するのには可能であればバイリンガルの能力をもつ英語指導者の添削が一番効果的だと私は思います。


その考えに至ったため、私は2ヶ月間のプライベート集中英語ライティングコースに通い、5回目の受験でやっと、IELTS overall 7.0を達成しました。


ここで素朴な疑問として、
なぜバイリンガルの英語指導者の能力が必要なの?、
日本人でも英語指導者だったらいいんじゃないの?または
ネイティブであればいいんじゃないの?
と思う方もおられるのではないでしょうか。


私もIELTSの受験を始める前はそう思っていました。ですが基準に到達しなかった過去4回の受験でリーディング・リスニング・スピーキングの点数が上がっていくのを尻目に、ライティングの点数は一向に変わらなかったのです。総合的な英語能力は向上しているのにライティング能力だけが上がらない。言語習得過程の最終段階がアウトプット能力のライティングであるのは知っていましたが、それにしてもあまりに遅い。


そこで気づいたのです。それまで私は英語で書き物をする方法についてほとんど学ぶ機会がなかったことに。


例えば義務教育での英語のライティングについて思い返してみると、手紙や感想文程度の文章の書き方を教わったことはありました。しかし、エッセイや小論文の書き方など英語で習ったことはその時点ではなかったように記憶しています。大学受験の英語でも選択問題が主流で、ライティングを求められたことはありませんでした。さらには大学入学後も英会話に主眼を置いた授業内容のため、学術的な文章を書く機会は全くありませんでした。


まずは論理的な文章を英語で書いた経験がなかった。これが一つ。


加えて、指導者側の問題も大きいと思います。
皆さんは英検を受けたことはあるでしょうか?私は準1級を取得していますが、IELTSとの比較で思うのが、英検では普段使わない高度な単語や言い回しについての設問が多い割にライティングの配点が少ない点が気になりました。


つまり大学及び大学院入学レベルの学術的な英語の運用に必要とされる英語能力を測るためのIELTSアカデミック(ジェネラルは省きます)と、小学生から社会人まで幅広い方を対象とした、英語検定試験(英検公式ホームページより)を謳う英検の目的は根本から異なるということです。日本の英語教育は少なからず英検の影響を受けていると感じられます。しかしその方法を盲目的に繰り返すだけではIELTSの点数をあげることは難しいでしょう。


日本では比較的数の多い英検の指導能力が高い指導者でも、IELTSの指導を行うのは難しいことが多々あると思われます。また日本の中学校の英語の先生のほとんどが英検準1級を持っていないということからも、英検対策さえできない自称英語指導者が日本にはあまりに多いのではないかと私は思います。ほとんどの大学院レベルの理学療法学科のLanguage requirementは IELTS overall 6.5 以上、これは英検に換算するとおよそ1級程度とかなりの英語能力が求められます。そのため日本人の英語指導者でIELTSのライティングを指導できる能力をもつ人は実はかなり少ないのではないかと私は思います。


ではネイティブに教わればいいのでは?と当然私も考えました。


しかし世界中で何人の人が英語を話しているでしょうか。その全ての人がIELTSのライティングレベルの文章作成能力を持っているとは到底思えません。帰国子女に関しても同様だと思います。確かにスピーキングは流暢な方が多いですがライティングには発音の不得手は関係ありません。


やはり論理的な文章を効率よく作成するにはある程度以上の教育を受けている必要があると思います。ネイティブ(帰国子女も含む)にライティングを習うのであれば少なくとも教育学や外国人の英語教育に関わる学士や資格、可能であれば大学院レベルの教育を受けた方を探すのがもっとも効果的ではないでしょうか。論理的な文章を作成するにはスーパーバイザー指導のもとで訓練が必要です。ショートカットはありません。


また日本人は世界でかなり英語能力が低い部類に入るようなので(残念ですがネイティブには評判が悪いようです…)、可能であればバイリンガル(通訳レベルであればなお望ましい)レベルの指導者に師事することで、効率よく日本人の典型的な間違いなどを指導してくれるのではないでしょうか。私は少なくともこの方法でライティング能力が向上したと思います。


IELTSの受験費用だけでかなり高額ですので私はなるべくお金をかけずに英語の勉強に取り組んできましたが、ライティングだけは費用をかけた方が結果的に経済的(短期間で集中的に対策できるため)なのではないだろうかという結論に達しました。


他の方法としては、いきなり留学予定地の語学学校に入学してしまうのも一つの手ではないでしょうか。オタゴ大学のあるダニーデンにも学校併設の英語学校があります。さらに外部の語学学校も数校あるようです。実績に関しては入念なリサーチが必要でしょうが、これが最も効率の良い学習方法かもしれません。オタゴ大学併設の語学学校にはESOL (English for Speakers of Other Languages) の資格を持った講師陣を揃えているようです。詳しくはOtago language center で検索してみてください。


まとめると、


IELTSのライティングには、
IELTS指導能力(可能であれば学位を取得)を持った英語教育者(バイリンガルが理想)によるライティング添削とフィードバックを依頼するのが最も効果的である。

と言えると思います。あくまでも個人的な意見ですがこれから留学を考えておられる皆さんの参考になれば幸いです。

以上IELTSライティング対策についてでした。 



IELTS対策に関するあとがき

IELTSには丸々2年間を費やしました。長かった…。
苦労した分思い起こすこともたくさんあります。今でも全ての受験地の場所や特徴などありありと思い出すことができます。
達成したからこそいい思い出と言えるのでしょう。
留学を思い立ってから英語の勉強を手探りで始めた時はまさしく五里霧中でした。
何せ周りにIELTSのことを知っている人がいませんでした。
日本では未だにTOEFLほどには知名度もなく、比較的受験地も少ないことと思います。これから対策される方、今まさに頑張っておられる方それぞれバックグラウンドは異なると思いますが、諦めずに頑張ってください。
留学して2年目ですが私は英語には未だに手こずっています。おそらく修士終了後にこのままニュージーランドに残ったとしても、私は非ネイティブなのでネイティブにとっては何かおかしな英語を話したり書いたりすることでしょう。でもそれで構わないと思います。
デーブ・スペクターさんやロバート・キャンベルさんの日本語はほぼ完璧だと思いますが、イントネーションなど仔細にいるとやはり日本で生まれ育った人が使う日本語とは違うと思います。彼らほどの語学の才を持ってしてもそうなのですから、私はおそらく永久に完璧な英語は話せないし書けないでしょう。

非ネイティブである以上完璧を追い求めてもしょうがない。要は通じればいいのです。私はニュージーランドでは外人なのですから。

今ではそう考えるようにしています。




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